犬が嘔吐する原因は?飼い主がするべき正しい対処法

入江栞
この記事を書いた人

ペットフーディスト / ヨガ講師
ペットフーディストの資格を取得。
ヨガのレッスンを提供しながら、ペット業界でのPR 等に携わり、自身のブランド拡大に向けて活動している。

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ペット×健康

犬と暮らしていると愛犬が嘔吐してしまうことは珍しくありません。

この時に気をつけたいのは、緊急性があるかどうか。

愛犬を迎えた頃、朝、黄色の嘔吐物を吐くことが続きました。

その頃の私は知識不足だったため、「嘔吐した」という状況だけで焦ってしまい、すぐに動物病院へ連れて行っていました。行くたびに特に異常は見つからず、原因は「空腹です」と言われていました。

「嘔吐」とはいえ様々な原因で起こる症状なため、目の前の状況を正しく判断する必要があります。動物病院に連れていくべきか、様子を見ても良いのか、焦らずに対処できるように必要な情報をお伝えしていきます。

犬の「嘔吐」とは?

「嘔吐」の定義は「胃の中にある食べ物や液体を身体の外へ出すこと」。

犬は人間に比べて吐きやすいと言われています。

これは、私たちは二足歩行で生活しているのに対し、犬は四足歩行で、吐くときに重力と逆らう必要がないからです。

犬が嘔吐する前に、口をペチャペチャ鳴らすようになったり、よだれが多くなったり、そわそわしながら歩き回ったりという行動が見られます。

「吐出」との違い

「嘔吐」と「嘔出」は定義が異なり、胃に届いていないものを身体の外に吐き出すことを「嘔出」といいます。

これは主にフードやおやつの早食いが原因となり、消化器に届く前に食道から吐き出される症状を指します。食道などの病気が原因になっている場合もあるため、頻繁に繰り返す場合は、一度動物病院を受診してください。

こんな時には急いで動物病院へ!

嘔吐にはいくつか考えられる原因があります。

すぐに動物病院へ連れていく必要がある状況ををいくつかご紹介します。

愛犬の嘔吐は緊急性があるのか、一つに指針にしてください。

①異物誤飲による嘔吐

異物誤飲による嘔吐はすぐに動物病院へ行くようにしましょう。

チョコレートやレーズン、玉ねぎなどの中毒を引き起こす食材を口にした場合、もしくは、おもちゃなど胃に何か異物が詰まってしまった場合はすぐに獣医師の診療を受けるようにします。

異物誤飲は飼い主が正しい知識を持って愛犬と生活をしたり、安心安全な生活を送るための環境を整えてあげたりすることで未然に防ぐことができます。

②何度も吐く

一度、嘔吐した後に何度も吐き出そうとする仕草を繰り返す場合もすぐに動物病院へ連れて行くようにします。嘔吐を繰り返すだけではなく震えるなどの仕草が見られた時にもさらに注意が必要です。

この場合は、空腹などの原因とは異なり、消化器疾患や内臓疾患の病気も疑われます。またそれ以外のさまざまな病気が疑われるため、早急に動物病院と連携をします。

③吐く以外の症状が見られる

ぐったりしている、よだれが出ている、痙攣を起こしているなど嘔吐以外の症状が見られた時にもかかりつけの動物病院へ連絡してください。

下痢もしている時には、胃腸炎や膵炎などの可能性が高いです。その他の感染症の可能性もあるため、放置せずにすぐに獣医師に診断を受けるようにします。

④吐いているものの中に血が混じっている

嘔吐物の色に注目して緊急性があるか判断するようにします。

透明もしくは黄色で泡が混じっている場合は、空腹が原因となることが多いです。ご飯を適量食べている場合は、ご飯を何回かに分けてあげる、もしくは量に考慮しながらご飯とご飯の間におやつを与えても良いでしょう。

ピンクや赤色の液体を吐いた場合はすぐに動物病院に相談しましょう。

特に、鮮やかな赤ではなく少し黒っぽい赤の嘔吐物の場合、消化器等からの出血も疑われるため、可能であれば嘔吐物を見せられるように写真を撮っておきます。

その他、お散歩以外の移動に慣れていない子の場合は、乗り物酔いで、もどしてしまうこともあります。長距離移動をする際には、こまめに休憩を取りながら移動するようにしましょう。

嘔吐した時におうちでできること

①嘔吐の様子をメモする

どんなものを吐いたのか、吐いた回数や頻度、犬の様子などを正確にメモしておきましょう。

余裕があれば嘔吐した時の様子や嘔吐物を写真や動画に納めておきましょう。

動物病院へ連れて行った際に、言葉だけで嘔吐した時の様子や嘔吐物を伝えてもうまく伝わらないこともあります。そんな時に実際の様子や写真があると正確な診断へ近づきます。

②すぐに落ち着いていてその他の症状がない時には様子をみる

嘔吐後にはすぐ普段通りの様子に戻り、動き回っている、お水が飲める、食欲もあるなどの状況であれば、すぐに病院に連れて行く必要はないかもしれません。

早食いをした、空腹だった、車酔いをしているなど思い当たる原因がないか思い出してみてください。しばらく様子を見てあげて、普段と違う様子が見られた時にはすぐに動物病院へ連れて行けるように準備しておきましょう。

③嘔吐した直後はお水やご飯は避ける

吐いてしまった直後はお水やごはんをあげることは避けて、その後もごはんは少量ずつ、ドライフードであればふやかしてあげることで消化が良くなります。

嘔吐を防ぐために意識したいこと

嘔吐の原因にはストレスや体調不良が一つの原因としてあるため、普段から健康的な生活を送、愛犬の小さな変化も見逃さないようにすることが大切です。

それ以外には、普段の生活で誤飲誤食させないことを意識してください。

特に拾い食いの癖がある子は、室内でも気になるものを口に入れてしまいがちなので拾い食いの癖を直しながら、生活環境を整えておきましょう。

観葉植物やおもちゃ、その他、愛犬の口の中に入るサイズのものの管理には特に気をつけてください。

また、普段、おやつやフードを早食いしがちな子も注意が必要です。こちらは「嘔吐」ではなく「吐出」になりますが、一度に食べ物が胃に入ることで刺激を与えてしまいます。食事の度に繰り返す場合は一度かかりつけの動物病院で診てもらうと良いでしょう。

早食い防止用のフードボウルも販売されていますのでそれらを使用して飼い主がコントロールしてあげましょう。

まとめ

愛犬が嘔吐すると焦ってしまい対応や判断に困ってしまうと思いますが、どんな場面でも正しい知識を持っていると落ち着いて対処できると思います。

今回ご紹介した対応策や原因については一部に過ぎません。

危険だな、と思った時にはかかりつけの動物病院に早めに行くことをおすすめします。

言葉を話せない愛犬を守ることができるのは飼い主しかいないということを忘れずに、どんな状況であっても落ち着いて対応できる環境を準備しておきましょう。