犬の一生を共に歩む 年齢ごとの飼い主の役割と理解

入江栞
この記事を書いた人

ペットフーディスト / ヨガ講師
ペットフーディストの資格を取得。
ヨガのレッスンを提供しながら、ペット業界でのPR 等に携わり、自身のブランド拡大に向けて活動している。

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ペット×健康

わんちゃんと共に歩む人生は、私たちに癒しをもたらしてくれます。

私たちとは異なる歳の重ね方をする新しい家族との生活では、年齢と共に変わる体調や行動に対して正しい知識を身につける必要があります。

家族の一員である愛犬との絆を深め、それぞれのライフステージに応じたサポートを提供することが、飼い主に課される大切な使命です。

また近年では、平均寿命がここ10年ほどで大きく伸び、個体差がありますが、平均寿命は約14-15年といわれています。

それに伴い、シニア犬の「老化」と「介護」の課題も生まれています。

私たちと同じように年齢が上がれば病気にかかりやすくなったり、足腰が弱くなったりします。しかし、私たちのように話すことはできないことや見た目に大きな変化がでないことから、なかなか老いに気づいてあげられないことも多いそうです。

私たちが病気を早期発見したり、足腰への負担を取り除いてあげるための環境を早めに作ったりすることが、歳を重ねたわんちゃんにしてあげることの最初の一歩となります。

この記事では、わんちゃんの成長に合わせた飼い主の役割や理解すべきポイントに焦点を当て、より良い共生を築いていくために必要な情報をお届けします。

わんちゃんのライフステージについて

犬のライフステージとは、犬が生まれてから老齢に至るまでの成長や発達の段階を指します。通常、以下のように主なライフステージに区分されます。

幼少期(生後0~1年)

赤ちゃんから成犬への成長期。飼い主に対する依存度が高く、基本的なしつけや社会化が重要。

成犬期(1~7歳)

成熟した期間で、身体的な成長が安定する時期。運動やトレーニングを通じて社会性を向上させ、健康な生活を維持する。

中年期(8~12歳)

成犬から中高年期への移行する時期。

身体的な変化が見られ、健康管理がますます重要になる。

高齢期(13歳以上)

老犬期。活動量が減少し、健康問題が増える。

飼い主のサポートが必要となり、特に栄養や医療の配慮が求められる。

各ライフステージでは、犬の栄養ニーズ、健康管理、運動量、行動特性などが異なります。飼い主はこれらの変化に適応し、愛犬に合ったケアを提供することが重要です。また、獣医との協力や専門家のアドバイスを得ることが、犬が健康で幸福な生活を送るために不可欠です。

わんちゃんの年齢と人の年齢に換算すると

わんちゃんの年齢の数え方は私たち人間と同じように1年に1歳歳を重ねるという単純なものではありません。小型犬・中型犬と大型犬でも年齢の数え方が異なるため、適したケアや日常生活を送るためにも愛犬がどのステージにいるのか知っておくと良いでしょう。

最近では細かい計算式が使われるようになっており、環境省が出している「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」では、小型犬・中型犬の場合「24+(年齢-2)× 4」、大型犬の場合「12+(年齢-1)× 7」という式が掲載されています。

小型犬・中型犬

大型犬

各ステージの特徴

たくさん学ぶ幼少期

わんちゃんが家族に加わる最初の時期は、愛情とトレーニングが不可欠です。

さらに生まれてから生後50日くらいまでは母親からの保護を必要としています。

この時期にトイレトレーニングや基本的なコマンドの徹底など、幼少期における飼い主の役割は特に重要です。

特に、ワクチンが終わったら社会化することを心がけていくと良いでしょう。

「社会化期」とは特に生後3カ月半までを差し、この頃に体験したことには順応しやすい傾向があると言われています。

社会性を身につけておくことは、恐怖心を克服することに繋がります。恐怖の対象に遭遇した場合に、逃げる(脱走)、戦う(噛む)といった行動を抑えることができます。

また、この時期はこまめな健康チェックや適度な遊びを通じたコミュニケーションが、健康に成長していくために大切な土台を築きます。特に幼少期は好奇心が旺盛なためよく動き回ります。体力の消耗が成犬よりも速いため、十分な睡眠時間を確保してあげましょう。(参考:成犬の平均睡眠時間は12~15時間)

今後の健康に大きく影響する成犬期

成犬期に入ると、運動量や食事、社会性の向上を促すことが飼い主の役割です。

一歳半前後から第二反抗期がくるとも言われています。自分で出来ることが増えてくることで自我が発達してくるため、反抗的な態度や、執着心や警戒心も生まれるため、要求を強引に通そうとする、威嚇を飼い主にするなどといった行動も見られるようになります。

幼少期よりもさらに信頼関係を深めることを意識してうまくコミニュケーションをとりながら、噛む・無駄吠えをするなどネガティブな行動を減らしていきましょう

また、健康管理を怠らないことも大切になってきます。とくに、避妊・去勢をすると避妊・去勢前と同じフードを同じ量食べているだけでも太りやすくなります。 

定期的に体重測定をするようにし、体重が少しでも増えてきたら獣医師に相談すると良いでしょう。単にフードの量を減らすだけでは、栄養バランス偏る可能性もあるため、専門家に相談しながら食事の内容を考えていきましょう。この時期、栄養バランスが崩れてしまうと体重の増減だけではなく身体の衰えを早める可能性を高めます。

小さなサインを見逃さない中高年期

中高年期に差し掛かると、徐々に体力や体調に変化が見られる場合もあります。成犬期よりも適切な運動や栄養、医療ケアに対する飼い主の理解が一段と必要になります。

介護が必要になる場合もありますが正しい知識を身につけながら、専門家のアドバイスを頼り、私たち飼い主は引き続き優しく寄り添うように心がけましょう。

より穏やかな日々を提供し、共に歳を重ねる楽しみを共有することが飼い主さんには求められます。

老犬期の共有

老犬期に入ると、犬の体調や気持ちに寄り添いながら優しく看取ることが最大の私たちの使命となるでしょう。栄養と健康管理にさらに留意し、共に過ごす日々を大切にすることが、犬との別れに向き合う準備となります。

シニア期に抱える問題と対応策

シニア期に増えてくる傾向にあり、近年、シニア犬が増えたことで課題の一つとなっている「わんちゃんの認知症」10歳を超える頃から始まり、13歳位から急増していくと言われており、予防と対策が必要になってきます。

わんちゃんの認知症の主な症状としては、徘徊、昼夜逆転、夜泣き、食欲や感情のコントロールができなくなる、無気力などがあげられます。

予防方法としてはっきりと示されているものはありませんが、毎日の生活の中で適度な刺激を与えてあげることがあげられます。

【適度な刺激を与えるためにできること】

・ノーズワークをする

・お散歩コースを変える

・マッサージをする

・日光浴をする

・知育玩具で遊ぶ など

わんちゃんの成長はとても早いもので、元気いっぱい比較的健康的に活動できる幼年期から成年期の期間は、0歳から7歳程度まで。一般的に7歳から先はシニア期と呼ばれており、介護が必要になってくる可能性が高くなります。

また、私たち人間のように見た目に大きな変化が現れないため、なかなか老いに気づいてあげられません。私たち飼い主が小さな変化に気づいてあげられるように一日一日を目の前の生命を大切に向き合っていくことが大切です。

まとめ

愛犬がいまどのライフステージにいて、人に置き換えたら何歳くらいになるのか把握しておくことで、よりいっそう、愛犬の健康状態への理解を深めやすくなります。

歳を重ねても愛犬が寿命を迎えるまで、健康に過ごし、一緒に楽しい時間を共有することができるように、私たちは正しい知識を身につけて日々愛犬と向き合いながら一緒に豊かな時間を送っていきましょう。