【日本企業たった0.0002%】健康経営・ウェルビーイングが注目される令和の”企業戦略”に、ペット飼育向けの福利厚生制度は必要

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WITH PET WORKの運営者です。

ペット×働く

現在の日本社会では、4世帯に1世帯は犬もしくは猫を飼育していると言われ、飼育頭数と15歳未満の子供の数を比較すると、飼育されている犬猫の数のほうが上回り、更に、年々1頭あたりにかける飼育費の高騰化も見受けられ、「ペットも家族の一員」という意識が社会的にも強まってきているのは、明らかでしょう。

しかし、その一方で、日本の社会環境は、ペットの家族化に追いついていない。と感じることはないでしょうか。例えば、ペットが理由で仕事を休みづらい。ペットと一緒に働ける環境や、ペットと一緒に利用できる飲食店が少ない。など。

実際に日本企業385万社のうちペット飼育者向けの福利厚生を導入している企業の割合はたったの0.0002%※と言われるほど、ほとんどの日本企業では、働く環境において「ペット」の存在を考慮することがない現状です。

こういった日本社会の現状は、世界的にみてペット後進国なのか。またなぜここまで日本はペットフレンドリーな取り組みに興味が持たれないのか。

それは日本ならではの【雇用形態やキャリア形成に対する固定概念】が今の働く環境に大きな影響を与えていました。

アメリカやイギリスなどペット先進国と言われる国における、働く環境はどのようになっているのか。

法律面や生活環境面において、ペット先進国の代表であるアメリカやイギリスでの雇用形態違いや、キャリア形成の固定概念の違いが、海外と日本での福利厚生の違いに大きく影響していると考えられます。

例えば、アメリカやイギリスは、キャリアアップのために転職を繰り返すことに抵抗感は低く、一度入った会社に長く勤め、定年を迎えるという意識がほとんどありません。

そのため、より多様な背景や立場を持つ従業員に合わせてさまざまな制度を用意している場合が多くとされている。

実際に平均勤続年数を比べると、アメリカやイギリスは4~5年程度。

対して日本企業では、1960年代経済成長以降、12年が平均とされ、アメリカ・イギリスの約3倍ほどに。日本企業側も従業員により長く働いてもらうために、全員を対象にする利用機会の平等が重視される背景から、一部の社員を対象とした福利厚生制度を導入する企業は少ないと考えられます。

アメリカでは「平等な体験を確保するために、各個人に必要なサポートを提供する」という考え方を持つ企業が多く、養子を迎える同性カップルへの産休制度、代理母費用の補助

などの多様な生き方をサポートする福利厚生制度などを取り入れる傾向があるようですね。

メリット1:優秀な人材獲得につながる

ユニークな福利厚生を活用することで、 メディアからの注目が集まるようになり、

企業の認知度UPやブランディングになります。

その結果、求人応募が増加が見込め、企業が求めている人材を獲得しやすくなるといったメリットが考えられます。

メリット2:企業へのロイヤリティーUP

各個人をサポートする福利厚生があることにより、働きやすい環境を提供することができ、企業への定着や、生産性向上など中長期的な企業利益へとつながることが期待できます。

社会の変化のスピードに対応し、また多様な従業員のニーズを把握しながら多様な制度を柔軟に取り入れられえる企業は海外の方が多いと感じますね。

例:企業事例

Google:社員が亡くなっても”10年間”給料を家族に支払う制度

在籍中に社員が亡くなってしまった場合、給料の半額をその社員の家族に10年間支払い続けるという福利厚生制度。

AMAZON:ペット同伴勤務可制度

アマゾンには社員2万人に対して2,000頭の犬が一緒に出社をし、仕事をしていると言われており、実際にアメリカ人道協会の研究結果によると、犬がオフィスにいることで、社員同士のコミュニケーションの活性化が信頼構築に寄与し、組織力の向上、生産性の向上など見られるとされています。

参考:

Apple:卵子凍結費用を補助

女性社員の起用に力を入れるAppleでは、働く女性の中で、キャリア形成のため20代ではなく、30代や40代で出産したいと望む社員を支援するために女性社員の卵子凍結費用の補助を行う制度を導入。GoogleやFacebookなども同様の制度を導入しています。

Salesforce:ボランティア休暇と寄付制度

有給で年間 7 日(56 時間)のボランティア休暇を取得することができ、上位 100 人のボランティアに選出された社員は、自分が寄付したいと考える非営利団体に 1 万ドルを寄付することができる制度を導入。

こういった日本ならではの雇用形態や、キャリア形成の固定概念が根付く日本企業では、

マイノリティーではなく、一人でも多くの人が平等に受けられる福利厚生を提供する傾向が高いため、「ペット飼育者向け」という比較的マイノリティーになりやすい従業員を対象として、福利厚生の普及には課題があるように感じます。

これからの日本企業はどのように変容していくべきなのか。働きながらペットと暮らしやすい環境を企業が提供するメリットは。

昨今、日本企業では様々な社会課題に直面し、変革が求められていると考えています。

例えば、若年層に増加している「うつ病」、過労死と労働環境の問題、ジャンダーギャップと女性の活躍促進、日本の賃金水準の低下、人口減少と高齢化、国際競争力の低下、技術革新への対応etc. 

このような課題に対して、従業員の健康促進と幸福感の向上を図りながら、企業の生産性向上や競争力強化を目的とする「健康経営」を推奨する企業の増加、上級管理職や企業の取締役会における女性の割合を増やす女性リーダーシップの推進制度の導入、ワークライフバランスの推進する福利厚生制度の導入など様々な対策が実施されていています。

では「ペット」の存在はどのように考えたら良いのでしょうか。

事実、犬及び猫の飼育頭数は、15歳未満の子供の数よりも上回り、少子高齢化が進む日本では、より【ペットは家族意識】が強まると考えられ、ペットの存在が人間の精神面において影響を与える機会が増えてくるでしょう。

ペットロスで仕事が手につかなくなる。ペットが病気だと、心配で仕事に集中できない。

これは「ペットだから」ではなく、子供や両親など「家族」であれば、同様に精神面で影響を受けますよね。

このようにペットに対する価値観が変わっている時代だからこそ、企業側が「ペット」の存在を家族の一員とした、制度や体制を整えていくことが、従業員の活躍機会の創出、生産性UP、採用機会の増加など様々な利益へと寄与すると考えられます。

「ペット飼育者向けの福利厚生」と考えると少しハードルは高いですが、

忌引き休暇の対象者の中に「ペット」という存在も含める小さな変化だけでも、中長期的に大きな利益を生み出すきっかけになるのではないでしょうか。